みなさんこんにちは。院長です。

昨日、今日と晴れてくれてとても嬉しいです!

さて、タイトルは何かというと最近多いと感じる症状です。

気候が関係しているのかな、とも思います。

私は今まで北海道、兵庫、神奈川と勤めてきましたが、どこにいても冬に猫ちゃんの下部尿路疾患が増えます

症状としては

・頻尿
・排尿痛
・血尿
・トイレ以外での排尿
・尿道閉塞(踏ん張ってもオシッコが出ていない)

などです。

これら症状を引き起こす原因はなんでしょうか?

以下のような報告があります。

Feline lower urinary tract disease in a German cat population. A retrospective analysis of demographic data, causes and clinical signs. Tierarztl Prax Ausg K Kleintiere Heimtiere. 2014;42(4):231-9.

特発性膀胱炎(FIC)が半数以上ですが、これははっきり言うと「原因不明」の膀胱炎という意味なのです。ストレスが発症要因ではないかとも言われています。ヒトの間質性膀胱炎とも病態が似ているそうです(これもストレスで悪化する)。

治療は、

・環境中のストレス因子の排除
・鎮痛、消炎剤
・抗不安薬

などがありますが、専門医のお話では1週間ほどで何もしなくても勝手によくなることが多いとのことです(そのため、お薬でよくなった、と感じられることが多い)。ただし、完治は困難でかなり再発が多い病気でもあります。

意外かもしれませんが、尿路感染は2割程度ですので、膀胱炎でとりあえず抗生剤、というのは8割方無意味どころか有害でしかないです。尿検査を行い、細菌が認められた場合のみ使用すべきです。

(ちなみに症状の無い細菌尿は無治療経過観察が推奨されております(International Society for Companion Animal Infectious Diseases (ISCAID) guidelines for the diagnosis and management of bacterial urinary tract infections in dogs and cats. The Veterinary Journal, Volume 247, May 2019, Pages 8-25)。むやみに耐性菌を作らない様にするためです。これは公衆衛生上非常に重要なことなのです)

いずれにしても、飲水量を増やすことで尿中の炎症起因物質(炎症性サイトカイン、結石、細菌など)を薄めることが出来ますのでどなたにもおススメしております。

水を温めたり、鰹節(無塩)の風味をつけてみたり、循環型飲水器を使用してみたりと色々な方法があると思いますが、

単純にウェットフードにするだけでも効果は大きいです。

どのような下部尿路徴候も、放置しておけば不可逆的な問題(完治しない)を引き起こしますので、お早めにご相談ください。

長くなってしまったので関節炎は別の機会にお話いたします。

それでは皆様、お大事になさってください

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