ワンちゃんとネコちゃんのアトピー性皮膚炎:ガイドラインから最新の報告まで

ワンちゃんとネコちゃんのアトピー性皮膚炎

ガイドラインから最新の治療まで、本当は診察中にお話ししたいのですが

語りきれないのでここでまとめます!

第1章 アトピー性皮膚炎ってどんな病気?

大切なワンちゃんやネコちゃんが体を痒がっている姿を見るのは、飼い主様にとって非常につらいことだと思います。この章では、アトピー性皮膚炎がどのような病気なのか、その基本的な特徴と、なぜ症状が起こるのかというメカニズムについて、科学的な根拠を基に解説します。

1-1. アトピー性皮膚炎の基本的な考え方

犬アトピー性皮膚炎(Canine Atopic Dermatitis; CAD)は、「遺伝的な素因が関与し、特徴的な症状を示す、炎症性および掻痒性(そうようせい:痒みを伴う)のアレルギー性皮膚疾患」と定義されています[2]。ネコちゃんの場合も同様にアレルギーが関与しており、環境アレルゲンに対する皮膚の症状は「猫アトピー性皮膚症候群(Feline Atopic Skin Syndrome; FASS)」と呼ばれます[5]

ポイント

  • 遺伝的素因:生まれつきアトピー性皮膚炎になりやすい体質を持っています。
  • アレルギー性:本来は無害なはずの環境中の物質(アレルゲン)に対して、免疫が過剰に反応してしまいます。
  • 慢性的・再発性:良くなったり悪くなったりを繰り返す、長い付き合いが必要な病気です。
  • 痒みが主症状:強い痒みが特徴で、生活の質(QOL)を大きく低下させます。

この病気は、単に「皮膚が弱い」というだけではなく、皮膚のバリア機能、免疫システム、そして皮膚や腸にすむ常在菌のバランスという、複数の複雑な要素が絡み合って発症すると考えられています[2, 15]

1-2. 病気が起こるメカニズム(疾患メカニズム)

アトピー性皮膚炎の症状は、なぜ起こるのでしょうか。ここでは、その中心となる4つのメカニズムについて詳しく見ていきましょう。

メカニズム①:皮膚バリア機能の異常

健康な皮膚は、レンガとセメントのように角質細胞と細胞間脂質がしっかりと結びつき、外部からの刺激(アレルゲン、細菌など)の侵入を防ぎ、体内の水分の蒸発を防ぐ「バリア機能」を持っています[15]。しかし、アトピー性皮膚炎のワンちゃんやネコちゃんでは、このバリア機能が生まれつき弱い傾向にあります。

健康な皮膚
バリア機能が正常で、外部からの刺激を防ぎ、水分の蒸発も少ない。
アトピー性皮膚炎の皮膚
🦠
💧
バリア機能が壊れ、アレルゲン(🦠)が侵入し、水分(💧)が蒸発しやすい。
図1:健康な皮膚とアトピー性皮膚炎の皮膚バリア機能の比較。健康な皮膚(左)は角質細胞が整然と並び、外部からのアレルゲンの侵入と内部からの水分の蒸発を防いでいます。一方、アトピー性皮膚炎の皮膚(右)はバリア機能が低下し、隙間からアレルゲンが侵入しやすく、水分も失われやすくなっています。[15, 9]
  • セラミドの不足:皮膚の水分を保ち、細胞同士を繋ぎとめる「セメント」の役割を果たすセラミドという脂質が不足しがちです。これにより、皮膚が乾燥し、外部からの刺激を受けやすくなります[15, 17]
  • 経表皮水分蒸散量(TEWL)の増加:皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚から水分がどんどん逃げてしまいます。これをTEWL(Transepidermal Water Loss)と呼びます。アトピー性皮膚炎のワンちゃんでは、症状のある部分だけでなく、一見健康に見える部分でもTEWLが高いことが報告されています[17]
  • 角質水分量(SSH)の低下:皮膚の最も外側にある角質層の水分量が少なくなり、皮膚が乾燥しやすくなります[17]

ある研究では、アトピー性皮膚炎のワンちゃんに特定の栄養素を含む療法食を2ヶ月間与えたところ、皮膚のバリア機能が改善する可能性が示されました。具体的には、給与1ヶ月後にTEWLが有意に低下し、2ヶ月後にはSSHが有意に上昇したという結果が得られています[9]。このことから、栄養管理によって皮膚のバリア機能をサポートすることの重要性がわかります。

メカニズム②:免疫システムのバランスの乱れ

私たちの体には、外部から侵入してきた異物(ウイルスや細菌など)を攻撃して体を守る「免疫」という仕組みが備わっています。この免疫システムが、アトピー性皮膚炎のワンちゃんやネコちゃんでは、本来攻撃する必要のない環境中のアレルゲン(例:ハウスダストマイト、花粉など)に対して過剰に反応してしまいます。

  • Th2細胞の優位な働き:免疫細胞の一種であるTヘルパー(Th)細胞には、Th1とTh2というタイプがあり、健康な状態では両者がバランスを保っています。アトピー性皮膚炎では、アレルギー反応を促進するTh2細胞が優位に働く傾向があります[5, 8]
  • IgE抗体の産生:Th2細胞が活性化すると、B細胞に指令を出し、アレルゲンに特異的な「IgE抗体」という物質を大量に作らせます。このIgE抗体は、皮膚にいるマスト細胞という細胞の表面に結合して、アレルゲンが侵入してくるのを待ち構えています[5]
  • 炎症とかゆみの発生:再びアレルゲンが体内に侵入し、マスト細胞上のIgE抗体と結合すると、マスト細胞からヒスタミンなどの炎症を引き起こす物質や、IL-31のような痒みを引き起こすサイトカイン(細胞間の情報伝達物質)が放出されます。これが、皮膚の赤みや強い痒みの原因となります[1, 5]

このように、アトピー性皮膚炎は単なる皮膚のトラブルではなく、免疫システム全体のバランスの乱れが深く関わっているのです。

メカニズム③:皮膚常在菌のバランスの乱れ(ディスバイオシス)

健康な皮膚の表面には、多種多様な細菌がバランスを保ちながら共存しており、これを「皮膚マイクロバイオーム(皮膚常在菌叢)」と呼びます。これらの常在菌は、外部からの病原菌の侵入を防ぐなど、皮膚の健康維持に重要な役割を果たしています。

しかし、アトピー性皮膚炎のワンちゃんやネコちゃんの皮膚では、このマイクロバイオームの多様性が失われ、特定の細菌、特に「黄色ブドウ球菌群(主にStaphylococcus pseudintermedius)」が異常に増殖する「ディスバイオシス」という状態に陥りがちです[3, 8]。この細菌の異常増殖は、皮膚の炎症をさらに悪化させ、アトピー性皮膚炎の症状を急激に悪化させる「フレア」の引き金となります[8]

ある研究では、アトピー性皮膚炎のワンちゃんが症状のフレアを起こしている時、皮膚の細菌の多様性が低下し、ブドウ球菌属の割合が著しく増加していることが確認されました。抗菌薬による治療で二次感染(膿皮症)が改善すると、細菌の多様性は回復しました。このことは、皮膚の細菌バランスを正常に保つことが、症状のコントロールにいかに重要であるかを示しています[8]

メカニズム④:腸内細菌と皮膚の健康(腸-皮膚相関)

近年、腸内環境が全身の健康、特に免疫機能に大きく影響を与えることが分かってきました。これは「腸-皮膚相関」と呼ばれ、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスが皮膚の状態にも関連しているという考え方です。

アトピー性皮膚炎のワンちゃんにおいて、腸内細菌のバランスを整える「プロバイオティクス(善玉菌)」や、善玉菌のエサとなる「プレバイオティクス」の投与が、症状の改善に役立つ可能性が報告されています。

  • プロバイオティクスの効果:ある研究では、アトピー性皮膚炎のワンちゃんに乳酸菌の一種であるLactobacillus paracasei K71を12週間経口投与したところ、ステロイドなどの薬剤の使用量を減らす効果(薬剤スコアの有意な低下)が認められました[14]
  • シンバイオティクスの相乗効果:別の研究では、プロバイオティクス(Lactobacillus paracasei M-1)とプレバイオティクス(ケストース)を組み合わせた「シンバイオティクス」を90日間投与したところ、皮膚炎の重症度スコア(CADLI)と痒みスコア(PVAS)が有意に改善し、ステロイドの総投与量も大幅に減少しました[19]

これらの研究は、腸内環境を整えることが、免疫バランスを調整し、結果としてアトピー性皮膚炎の症状緩和につながる可能性を示唆しています。これは、従来の皮膚への直接的なアプローチに加え、体の中から体質を改善していくという新しい治療の選択肢となり得ます。

第2章 ワンちゃんとネコちゃん、症状のちがい

アトピー性皮膚炎は、ワンちゃんとネコちゃんの両方に見られますが、その症状の現れ方にはいくつかの特徴的な違いがあります。この章では、共通する症状と、それぞれの動物種に特有の症状について、実際の症例写真も交えながら解説します。

2-1. 共通する症状:しつこい痒み

ワンちゃんもネコちゃんも、アトピー性皮膚炎の最もつらい症状は「痒み」です。この痒みは、以下のような行動として現れます[2, 4]

  • 引っ掻く:後ろ足で体や顔、耳などを激しく掻く。
  • 舐める・噛む:足先、お腹、脇の下などを執拗に舐めたり、噛んだりする。
  • こすりつける:顔や体を家具や床にこすりつける。
  • 過剰なグルーミング(ネコちゃん):体を舐めすぎて毛が薄くなったり、禿げてしまったりする。

この痒みによって皮膚を傷つけると、そこから細菌などが感染して「二次感染」を起こし、さらに症状が悪化するという悪循環に陥ります[3, 10]

2-2. ワンちゃんのアトピー性皮膚炎の特徴

ワンちゃんのアトピー性皮膚炎では、症状が出やすい部位に特徴があります。一般的に、皮膚が薄く、蒸れやすい場所に症状が現れやすいです[2]

症状が出やすい場所

  • 顔(目の周り、口の周り)
  • 耳(特に耳介の内側)
  • 脇の下
  • お腹、内股
  • 足先(指の間)
  • お尻の周り

犬種による特徴

特定の犬種では、典型的な部位に加えて、特有の場所に症状が出ることがあります[2]

犬種 症状が出やすい追加の部位
フレンチ・ブルドッグ まぶた、関節の曲がる部分[1, 2]
ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア 背中から腰、唇、関節の曲がる部分[1, 2]
ジャーマン・シェパード・ドッグ 肘、後ろ足、胸[1, 2]
ラブラドール・レトリバー 研究対象として多く含まれる犬種[1]
ボクサー [2]

皮膚の症状

初期には痒みだけが目立ち、皮膚に異常が見られないこともありますが、進行すると以下のような皮膚病変が現れます[2]

  • 赤み(紅斑):皮膚が赤くなる。
  • ブツブツ(丘疹):小さく赤い盛り上がり。
  • 脱毛:痒くて掻いたり舐めたりすることで毛が抜ける。
  • 皮膚の肥厚・黒ずみ(苔癬化・色素沈着):慢性的な炎症により、皮膚がゴワゴワと厚くなり、黒ずんでくる。
  • 二次感染:細菌やマラセチア(酵母菌の一種)が増殖し、膿疱(膿のたまった水ぶくれ)やフケ、ベタつき、独特の臭いなどを引き起こす。

2-3. ネコちゃんのアトピー性皮膚炎(FASS)の特徴

ネコちゃんのアトピー性皮膚炎は、ワンちゃんとは異なり、特定の病変ではなく、いくつかの「皮膚反応パターン」として現れるのが特徴です。これらの反応パターンは、環境アレルゲンだけでなく、ノミアレルギーや食物アレルギーでも見られることがあります[4]

4つの主な皮膚反応パターン

  1. 粟粒性皮膚炎(ぞくりゅうせいひふえん):背中やお腹などに、粟粒のような小さな赤いブツブツ(丘疹)がたくさんできる。触るとザラザラした感触がある。
  2. 自己誘発性脱毛症:痒みのために過剰なグルーミング(毛づくろい)を行い、特定の部位の毛が薄くなったり、完全にはげてしまったりする。特にお腹や内股、脇腹などに見られることが多い。
  3. 好酸球性肉芽腫複合体(こうさんきゅうせいにくげしゅふくごうたい):アレルギー反応に関わる「好酸球」という白血球が集まってできる特徴的な病変で、以下の3つのタイプがある。
    • 好酸球性プラーク:お腹や内股などに、境界がはっきりした、赤く盛り上がったジクジクした病変ができる。
    • 好酸球性肉芽腫:口の中や後ろ足などに、線状の硬い盛り上がりや、しこりができることがある。
    • 無痛性潰瘍(インドレント・潰瘍):主に上唇に、えぐれたような潰瘍ができる。痛みは伴わないことが多い。
  4. 頭部および頸部の掻き壊し:頭や首、耳の周りを激しく引っ掻くことで、深い傷や潰瘍、かさぶたができる。

これらの反応パターンは、単独で現れることもあれば、複数が同時に見られることもあります[4]。ネコちゃんの場合、痒みの行動が隠れて行われることも多いため、脱毛などの症状で初めて気づく飼い主様も少なくありません。

第3章 診断までの道のり

ワンちゃんやネコちゃんのアトピー性皮膚炎の診断は、血液検査や画像検査のように「この検査で陽性だから確定」という単純なものではありません。似たような症状を示す他の病気の可能性を一つひとつ丁寧に取り除いていく「除外診断」というプロセスが非常に重要になります[2]

3-1. アトピー性皮膚炎は「除外診断」が基本

痒みを引き起こす病気は、アトピー性皮膚炎以外にもたくさんあります。正しい治療を行うためには、まずこれらの病気ではないことを確認する必要があります。痒みの原因となる主な病気は以下の通りです[2, Table 1]

カテゴリー 主な病名
外部寄生虫 ノミ、疥癬(かいせん)、ニキビダニ(アカラス)、ツメダニなど
感染症 細菌性皮膚炎(膿皮症)、マラセチア皮膚炎、皮膚糸状菌症(カビ)
アレルギー性疾患 ノミアレルギー性皮膚炎、食物アレルギー、接触性皮膚炎
その他 皮膚リンパ腫(腫瘍)など

これらの病気は、アトピー性皮膚炎と症状が似ているだけでなく、アトピー性皮膚炎に合併して症状を悪化させることもあります。そのため、獣医師は体系的なアプローチで診断を進めていきます。

3-2. 診断のためのステップ

国際的なガイドラインでは、以下のようなステップで診断を進めることが推奨されています[2, 3]

1

寄生虫の除外

ノミ、ダニ(疥癬、ニキビダニ等)の感染がないか、検査や診断的治療で確認します。

2

感染症の除外

細胞診(サイトロジー)で細菌やマラセチアの二次感染がないか確認し、あれば治療します。

3

食物アレルギーの除外

厳密な除去食試験(最低8週間)と食物負荷試験を行い、食物が原因でないか確認します。

4

アトピー性皮膚炎の臨床診断

他の病気がすべて除外され、なお特徴的な症状が残る場合に、臨床的にアトピー性皮膚炎と診断します。

図2:犬の膿皮症に対する段階的な診断アプローチのフローチャート。まず皮膚を検査し、細胞診で細菌感染を確認します。次に、根本的な原因を調査し、適切な治療法を選択します。[3]

3-3. アレルギー検査の目的と限界

アトピー性皮膚炎と臨床的に診断された後、原因となっている環境アレルゲンを特定するためにアレルギー検査を行うことがあります。これには、皮膚にアレルゲンを注射して反応を見る「皮内テスト(IDT)」と、血液中のIgE抗体を測定する「血清アレルギー検査(ASIS)」があります[2]

重要:アレルギー検査は診断のためではありません

アレルギー検査は、アトピー性皮膚炎という病気を診断するためのものではありません。その主な目的は、原因アレルゲンを特定し、後述する「アレルゲン特異的免疫療法(ASIT)」を行う場合に、その治療薬を作成するために行われます[2]。健康なワンちゃんやネコちゃんでも、これらの検査で陽性反応が出ることがあります[5]

また、これらの検査では食物アレルギーを正確に診断することはできません。食物アレルギーの診断は、あくまで除去食試験と食物負荷試験によって行われます[2]

第4章 治療法と管理方法

アトピー性皮膚炎は、残念ながら完治する病気ではありません。しかし、適切な治療と管理を続けることで、痒みや皮膚の炎症をコントロールし、ワンちゃんやネコちゃん、そして飼い主様の生活の質(QOL)を良好に保つことが可能です。この章では、現在行われている様々な治療法とご家庭でのケアについて、科学的根拠に基づいて詳しく解説します。

4-1. 治療の基本方針:多角的なアプローチ

アトピー性皮膚炎の治療は、一つの方法だけでうまくいくことは稀で、個々の症状やライフスタイルに合わせて、複数の治療法を組み合わせる「多角的なアプローチ」が基本となります。国際的なガイドラインでは、以下の4つの柱を基本に治療計画を立てることが推奨されています[2, 11]

  1. 悪化要因の特定と対策:ノミや食物など、症状を悪化させる原因を見つけて取り除く。
  2. スキンケア:シャンプー療法などで皮膚を清潔に保ち、バリア機能をサポートする。
  3. 痒みと炎症のコントロール:内服薬や注射薬、外用薬でつらい症状を和らげる。
  4. 再発予防:症状が落ち着いた後も、再発を防ぐための長期的な管理を行う。

これらの治療法を、獣医師と飼い主様が協力して、その子にとって最適な形で組み合わせていくことが成功の鍵となります。

4-2. 痒みと炎症を抑える治療法(薬物療法)

アトピー性皮膚炎のつらい痒みや炎症をコントロールするために、様々な薬が使われます。それぞれに特徴があり、効果や副作用、費用の面から、その子に合った薬を選択します。

ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬

作用メカニズム:痒みや炎症を引き起こすサイトカイン(IL-31など)の情報伝達を、細胞内でブロックすることで効果を発揮します。比較的速やかに効果が現れるのが特徴です[11, 12]

  • オクラシチニブ(商品名:アポキル®):ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎に伴う痒みの治療薬として広く使われています。ある研究では、この薬の投与により、T細胞の活性化に関わるCD25という分子の発現が低下し、一方で免疫を抑制する働きのある制御性T細胞(Treg)の割合が増加することが示唆されており、免疫調節作用があると考えられています[12]。ネコちゃんにおいても、アトピー性皮膚炎に対して有効であったという報告があります[4]
  • イルノシチニブ(商品名:ゼンレリア®):新しいJAK阻害薬で、ワンちゃんのアレルギー性皮膚炎に対して1日1回の投与で効果が示されています。ある臨床試験では、投与開始3日目から痒みが50%以上減少したワンちゃんの割合がプラセボ(偽薬)群より有意に高く、28日目には51.8%のワンちゃんが痒みの臨床的寛解(PVASスコアが2未満)を達成しました[11]

モノクローナル抗体製剤

作用メカニズム:痒みを引き起こす特定の物質(サイトカイン)だけを狙い撃ちして、その働きを中和する抗体製剤です。非常に特異的に作用するため、副作用が少ないとされています。

  • ロキベトマブ(商品名:サイトポイント®):ワンちゃんの痒みに深く関わるサイトカイン「インターロイキン-31(IL-31)」を標的とする注射薬です。月に1回の注射で効果が持続します。ある大規模な臨床試験では、痒みの指標であるPVAS(飼い主による痒みの評価スコア)の改善率において、従来の治療薬であるシクロスポリンに対して非劣性(効果が劣らないこと)であることが示されました。特に、投与後1日目から痒みの軽減効果が見られ、その効果はシクロスポリンよりも速やかでした[1]
図4:ロキベトマブとシクロスポリンの痒みスコア(PVAS)の推移比較。ロキベトマブ群(青線)は、シクロスポリン群(オレンジ線)と比較して、試験期間を通じて一貫して低い痒みスコアを示し、特に治療初期(1日目、2日目など)において統計的に有意な差が見られました。[1, Figure 1]

シクロスポリン

作用メカニズム:免疫を担うT細胞の働きを抑制することで、アレルギー反応全体を抑える免疫抑制剤です。効果が現れるまでに少し時間がかかりますが、慢性的な炎症のコントロールに適しています。

  • ワンちゃん:ある臨床試験では、28日目の皮膚病変スコア(CADESI-03)の改善率において、ロキベトマブに対する非劣性は証明されなかったものの、両群間でスコアに有意な差はありませんでした。痒みの改善効果はロキベトマブより緩やかでした[1]
  • ネコちゃん:アトピー性皮膚炎(FASS)に対して、7mg/kgを1日1回投与することで高い有効性が示されています。多くのネコちゃんで、症状が改善した後は投与頻度を週2回まで減らすことができました。ただし、消化器系の副作用(嘔吐、下痢など)が最も一般的です[4]
図5:ロキベトマブとシクロスポリンの皮膚病変スコア(CADESI-03)の推移比較。両群ともに時間経過とともにスコアは改善しましたが、試験期間を通じて両群間に統計的に有意な差は見られませんでした。[1, Figure 3]

ステロイド(グルココルチコイド)

作用メカニズム:強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を持ち、痒みや皮膚の赤みを迅速に抑えます。急な悪化(フレア)を抑えるのに非常に有効です。

ステロイドは非常に効果的ですが、長期的に使用すると糖尿病や医原性クッシング症候群などの副作用のリスクがあるため、獣医師の厳密な管理のもとで、必要最小限の量と期間で使用することが重要です[1, 4]。ネコちゃんのアトピー性皮膚炎や喘息に対しても高い有効性が報告されています[4]

アレルゲン特異的免疫療法(ASIT)

作用メカニズム:アレルギー検査で特定された原因アレルゲンを、ごく少量から徐々に体に投与していくことで、アレルゲンに対する免疫の過剰反応を弱め、体を慣らしていく治療法です。「減感作療法」とも呼ばれます。

根治を目指せる唯一の治療法ですが、効果が現れるまでに数ヶ月から1年以上かかることがあり、すべてのワンちゃんやネコちゃんに効果があるわけではありません。ワンちゃんでは約60-70%、ネコちゃんでも同様の有効率が報告されています[2, 4]。他の治療法と組み合わせて行われることが多いです。

その他の内服薬(抗ヒスタミン薬など)

抗ヒスタミン薬:痒みの原因物質であるヒスタミンの働きをブロックします。ワンちゃんでは効果が限定的ですが、ネコちゃんでは一部で効果が見られることがあります。副作用として眠気が出ることがあります[4]

必須脂肪酸(EFA)やパルミトイルエタノールアミド(PEA):サプリメントとして利用され、皮膚の炎症を和らげたり、バリア機能をサポートしたりする効果が期待されます。ネコちゃんの粟粒性皮膚炎に対して、中程度の有効性が報告されています[4]

4-3. 二次感染の治療

アトピー性皮膚炎のワンちゃんは、皮膚のバリア機能の低下や掻き壊しにより、細菌やマラセチアによる二次感染(膿皮症やマラセチア皮膚炎)を起こしやすい状態にあります。この二次感染自体が痒みを引き起こし、症状をさらに悪化させるため、そのコントロールは非常に重要です[3]

  • 診断:二次感染の診断には、皮膚の表面からサンプルを採取して顕微鏡で観察する「細胞診(サイトロジー)」が不可欠です。これにより、どのような菌が増えているのか、炎症の程度はどうかなどを評価します[3]
  • 治療:
    • 外用療法:軽度から中等度の表在性膿皮症(皮膚の浅い部分の感染)では、クロルヘキシジンなどを含む薬用シャンプーやスプレー、ワイプなどによる外用療法が第一選択となります。全身的な抗生物質の使用を減らすためにも、外用療法は非常に重要です[3]
    • 全身療法(内服・注射):感染が深い場合(深在性膿皮症)や、外用療法だけではコントロールできない場合に、抗生物質の内服や注射が行われます。その際は、薬剤耐性菌の問題を避けるため、可能な限り「細菌培養・感受性試験(どの抗生物質が効くかを調べる検査)」に基づいて薬剤を選択することが強く推奨されます[3]

抗生物質の適正使用について

近年、薬剤耐性菌(特にメチシリン耐性ブドウ球菌:MRSP)が問題となっています。過去に抗生物質を繰り返し使用した経歴がある場合や、治療への反応が悪い場合は、耐性菌の可能性が高まります[3, 7]。ある研究では、最近の抗生物質使用歴がないワンちゃんから分離されたブドウ球菌は、第一選択薬の一つであるクリンダマイシンに対して100%感受性があったと報告されています[10]。このことから、初めての単純な皮膚感染症に対しては、適切な薬剤選択により良好な治療効果が期待できますが、漫然とした抗生物質の使用は避けるべきです。

4-4. ご家庭でできるケアと管理(非薬物療法)

薬物療法と並行して、ご家庭での日々のケアはアトピー性皮膚炎の管理において非常に重要な役割を果たします。

スキンケア(外用療法)

定期的なシャンプーや保湿は、皮膚表面のアレルゲンや余分な皮脂、細菌などを洗い流し、皮膚のバリア機能をサポートします。

  • 薬用シャンプー:クロルヘキシジンなどの殺菌成分を含むシャンプーは、二次感染の予防と治療に有効です。獣医師の指示に従い、適切な頻度(例:週に2〜3回)と接触時間(例:10分程度おく)を守ることが大切です[3]。しかし一方で、抗菌シャンプーは経皮水分喪失量を増加させることがわかっています。
  • 保湿:シャンプー後や日々のケアとして、セラミドなどを含む保湿剤(スプレー、ローション、ムースなど)を使用することで、皮膚の乾燥を防ぎ、バリア機能を補強します。

栄養療法(療法食・サプリメント)

特定の栄養素を調整した療法食やサプリメントは、皮膚の健康を内側からサポートし、アトピー性皮膚炎の症状を緩和する効果が期待できます。

ある研究では、甘草根エキス、ウコンエキス、リノール酸、EPA/DHAなどを含む療法食をアトピー性皮膚炎のワンちゃんに2ヶ月間給与したところ、以下のような改善が見られました[9]

  • 皮膚症状と痒みの改善:2ヶ月後に皮膚炎の重症度スコア(CADESI-04)と痒みスコア(PVAS)が有意に低下しました。
  • 皮膚バリア機能の改善:1ヶ月後には経表皮水分蒸散量(TEWL)が有意に低下し、2ヶ月後には角質水分量(SSH)が有意に上昇しました。
図6:療法食給与による重症度スコア(CADESI-04)の変化。給与前(中央値10.5)と比較して、2ヶ月後(中央値6.00)に有意な低下が認められました。[9, 図1]
図7:療法食給与による痒みスコア(PVAS)の変化。給与前(中央値3.00)と比較して、2ヶ月後(中央値1.50)に有意な低下が認められました。[9, 図2]

これらの結果は、適切な栄養管理が薬物療法の補助として、症状の緩和や皮膚バリア機能の回復に貢献できる可能性を示しています。療法食は、薬の使用量を減らす「ステロイド・スペアリング効果」も期待されています[14]

環境アレルゲンの回避

アレルギー検査で原因アレルゲンが特定できた場合、可能な範囲でそのアレルゲンを生活環境から取り除くことも有効です。

  • ハウスダストマイト対策:こまめな掃除、空気清浄機の使用、布製品(ベッド、カーペットなど)の洗濯や防ダニ製品の利用。
  • 花粉対策:花粉の飛散が多い時期の散歩は時間帯を工夫する、散歩後は体を拭く、服を着せるなど。

ただし、環境アレルゲンを完全に除去することは困難なため、他の治療法と組み合わせて行うことが現実的です[4]

4-5. 新しい治療法の試み

アトピー性皮膚炎の治療法は日々進歩しており、新しいアプローチも研究されています。その一つに「皮膚マイクロバイオーム移植(SMT)」があります。

皮膚マイクロバイオーム移植(SMT)とは?

これは、健康な皮膚の部位から常在菌を採取し、アトピー性皮膚炎の症状が出ている部位に移植することで、乱れた細菌バランス(ディスバイオシス)を正常に戻そうという試みです。ある小規模な研究では、市販の毛穴すっきりパック(Nivea Refining Clear-Up Strips)を用いて、同じワンちゃんの健康な皮膚から病変部へ常在菌を移植したところ、皮膚の赤みスコアが有意に改善したと報告されています[13]。これはまだ実験的な段階の治療法ですが、将来的に新たな治療選択肢となる可能性を秘めています。

第5章 よくあるご質問(Q&A)

ここでは、飼い主様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

アトピー性皮膚炎は完全に治りますか?

残念ながら、アトピー性皮膚炎は遺伝的な体質が関わる病気のため、現在の獣医療では「完治」させることは難しいです。しかし、この病気は「管理する」ことができる病気です。適切な治療とケアを継続することで、痒みや皮膚炎のない快適な状態を長く維持し、ワンちゃん・ネコちゃんのQOL(生活の質)を高く保つことが治療の目標となります[2]

薬をずっと使い続けることに抵抗があります。減らしたり、やめたりすることはできますか?

そのお気持ちはよく分かります。アトピー性皮膚炎の治療では、まず症状をしっかりと抑えるために薬を使いますが、症状が安定すれば、獣医師は副作用のリスクを減らすために、薬の量や頻度を必要最小限に調整していきます。また、この資料で紹介したスキンケアや食事療法、サプリメント(プロバイオティクス等)、環境整備などを組み合わせることで、薬への依存度を下げ、「ステロイド・スペアリング効果(ステロイドの使用量を減らす効果)」を得られる可能性があります[14]。場合によっては投薬から解放され、ご家庭の管理のみで維持できる子達もいらっしゃいます。自己判断で薬を中断すると症状が急激に悪化することがあるため、必ず獣医師と相談しながら治療計画を進めていきましょう。

アレルギー検査をすれば、何にアレルギーがあるか全て分かりますか?

アレルギー検査(皮内テストや血清IgE検査)は、主にハウスダストマイトや花粉などの「環境アレルゲン」に対する反応を調べるものです。この検査は、アトピー性皮膚炎を診断するためではなく、原因アレルゲンを特定して「アレルゲン特異的免疫療法(ASIT)」を行うために実施されます[2]。重要な点として、この検査では食物アレルギーを診断することはできません。また、「健康な子でも陽性反応が出ることがある」ため、結果の解釈には専門的な判断が必要です[2, 5]

療法食やサプリメントだけで症状は良くなりますか?

療法食やプロバイオティクスなどのサプリメントは、皮膚のバリア機能をサポートしたり、腸内環境を介して免疫バランスを整えたりすることで、アトピー性皮膚炎の管理に非常に有効な補助療法となり得ます。ある研究では、療法食を2ヶ月間与えることで、軽度から中等度の症状のワンちゃんの皮膚炎スコアや痒みスコアが有意に改善したことが報告されています[9]。また、プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたシンバイオティクスが、症状を改善しステロイドの減薬に繋がったという報告もあります[19]。しかし、症状が重い場合や、急性期には、これらだけで症状を完全にコントロールすることは難しいことが多いです。薬物療法と組み合わせることで、より高い治療効果や、薬の減量が期待できます。

シャンプーはどのくらいの頻度で行うのが良いですか?

シャンプーの頻度は、皮膚の状態や使用するシャンプーの種類によって異なります。二次感染を伴う表在性膿皮症の場合、国際的なガイドラインでは、クロルヘキシジンなどを含む薬用シャンプーを週に2〜3回以上使用することが推奨されています[3]。シャンプーには、皮膚表面のアレルゲンや細菌を除去し、薬剤を皮膚に浸透させる効果があります。ただし、洗いすぎは皮膚を乾燥させる原因にもなるため、保湿ケアとセットで行うことが大切です。また乾燥肌の場合はシャンプーをせずに保湿入浴のみを行う方が良い場合もあります。必ず獣医師の指示に従い、その子に合った頻度と方法でシャンプー、入浴を行ってください。

第6章 参考文献

この資料は、以下の学術論文および臨床ガイドラインに基づいて作成されました。より専門的な情報に関心のある方は、これらの原典をご参照ください。

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